情緒よりも主観。

うたプリやアニメや映画について、思ったことをいろいろ書くオタクブログです。

原作信者として観る映画『十二人の死にたい子供たち』

原作信者だから観てきたよ! わりと実写化向けだと思ってたから映画化は嬉しかったです。

劇場行くまで若者向けだと思ってなかったので、場内の平均年齢が若くて少し焦る。よく考えたら主題はいつも通り全人類向けでも、キャラクターやキャストの年齢層的にティーン向けになるのか。勉強になる。

先にまとめを言うと、映画単体としての完成度は非常に高いです。若手俳優さんたちが同世代で切磋琢磨してできた映画なんだろうなあ。ケンイチの絶妙なウザさや、メイコのヤバさ、アンリの真剣な危うさは実写で表現されるとパンチが強くてなかなかクるものがありました……。ちゃんとミステリやった上で主題も丁寧に描いていただいて、原作信者的には大成功だと思います。橋本環奈さん眺めにいくだけでもおすすめ。

 

ここまでが前置きですね!

ここからは映画単体として☆5、原作信者的に☆3という評価を下した原作信者が「原作とここが違う!!!」と叫ぶ流れになるので、鑑賞済み原作未読は原作読んでから読んでね。

 

原作読んだのは随分前でうろ覚えだったので、観ながら思い出してました。シナリオの大筋は変わっていないので満足して見終われたのだけど、キャラクターの性格とバックボーンの相違点が少し気になってしまった……のでそれを書く。

 

シンジロウ

メインビジュアルぱっと見た感じシンジロウがいなかったので「大丈夫か!?」と思ったんですけど、ちゃんと回収されたので安心した。……のだが、見た目から発せられる"療養期間が長くあまり人と関わることがない"感に戸惑った。彼の魅力は頭がいい上に人好きのするところだと思っているので……。その要素は映画にするにあたってとか尺とかの都合で真っ先に削られるところだろうし、頭の良さだけで人望を得るのも理解できるんですけどね。でもな〜天然タラシで協力者を増やしていくシンジロウを実写で見たかったというのは非常にある……なぜならわたしは冲方丁が書く天然タラシ男が大好きだからだ……。

ちなみに原作シンジロウは将陵僚だけど映画シンジロウは皆城総士です。何度でも言うけど本当なので確認してほしい。あってると思う。

 

アンリ

バックボーンに修正が入ったけど、尺以外の理由があるなら教えてほしい。本当に。「生まれてこなければよかった!」の理由が弟の生に対する疑問というのは、彼女自身の経験に裏打ちされた動機として十分だろうけど、その経験が彼女が持つ思想とは背反するような恐るべきバイタリティに結びつきにくくなるように思った。アンチテーゼを背負うアンリのことは手を抜かずにいじめてほしかったですね……。

最後の採決でメイコを見つめる笑顔はすごくよかったです。杉咲花さん、得体の知れない役が似合うね。あと嫌煙エピソードちゃんと伏線だったのは評価できる。薬に詳しいのは? というのもありますが……。

アンリは生まれる恐怖を克服できなかった乙姫ちゃんという読みをしていた。ちなみにサトシがアンリに唯一共感できる人間というとてもよい設定があります。

 

以上です。原作信者だからくだは巻くけど、映画単体でできがいいのは本当なのでおすすめだよ! 明日にでも見に行ってくれよな!

原作も買ってくれよな!

 

十二人の死にたい子どもたち (文春文庫)

十二人の死にたい子どもたち (文春文庫)