情緒よりも主観。

うたプリやアニメや映画について、思ったことをいろいろ書くオタクブログです。

『ドリフェス!』はシビアだからこそ光明たりうる

なんだかよくわからないうちに『ドリフェス!』の感想ツイートがツリーを含めてめちゃくちゃ伸びていたので、いっそ長めに書こうと思い書きました。大体ツイートのまとめです。

 

きっかけ

推しジャンル布教をするのは好きだがされるには厄介なオタクです。なぜならだれかがハマっている作品には「だれかがハマっている作品」というフィルターをかけてしまい、個人としての作品への没入感が薄れてしまうため。

ドリフェス!』は信頼できるフォロワーが数名ハマっていたので興味はありつつも、やはりフィルターの影響減るまでは寝かせておきたくて、“死ぬまでに見るリスト”入りさせていました。

見ようかなあと思ったきっかけは後輩のツイートでした。「身の回りに『ドリフェス!』の話ができる人がいなくてさみしい」……ジャンルは違ってもその気持ちがわからないオタクはいない。

単なる「ご飯食べながら見れるテンションのアニメ見たい」という欲求にわずかな使命感がかみ合わさり、『ドリフェス!』を見るに至ります。

 

ドリフェス!』という光を支えるもの

最初どころか最終盤の直前まで、わたしの感性にドンピシャではなかった。数多のエピソードに「えっ、ここ掘り下げないんだ?」と感じていたからです。伏線回収や感情のぶつけ合いが好きなオタクには、奏くんと純哉くんのライバル感情は拗れないし、慎と圭吾も普通に仲直りするような、拍子抜けするくらい「シリアスを引きずらない」ことが理解できなかった。他にも千弦と唯弦の遺恨、樹の進路、勇人とリョウの再会など、シリアスをやる気になればいくらでもやれる材料はそろっている。

ここまで背景を整えた上で描かないなら、それらのエピソードによって間接的に強調される仲間との絆“そのもの”は主題ではない、ということにはっきりと気付いたのはR9話を見終えてからでした。

では『ドリフェス!』のテーマとはなにか。わたしは「ファンとの向き合い方」、もっと言えば「ファンと向き合うための努力とはなにか」だと思いました。奏くんの怪我のエピソードでは特にはっきり描かれていたと思います。

周囲は奏のためにもファンのためにも「無理はしてほしくない」と説く。三貴士に託されたステージであること、Dear Dreamがステージに立てないこと、それで悲しむファンがいること。全部をわかっている奏くんは、「みんなに絶対迷惑かけないから」と言ってステージに立ちたい意思を訴える。

最終的に純哉くんが下した決断が、わたしは『ドリフェス!』という物語のひとつのアンサーだと思うんですね。Dear Dreamが目指した「ファンのエールに応える」「メンバーに甘えるのではなく、自立した上で助け合う」というのを、奏くんをステージに上げ、ファンのことも喜ばせることで示そうとした。

特に好きなのがこの後なんですよ。「まだ泣くな。解決したわけじゃない」というニュアンスの純哉くんのセリフ、めちゃくちゃシビアじゃん? だけどこれが『ドリフェス!』なんでしょうね。「がんばります!」って言うことは努力ではないんだよ、当たり前だけど。具体的な形を伴わなければなにもしてないことと同じ。このときの奏くんに罪悪感を持つなと言うほうが無理なんだけど、反省という感情があるからといって怠惰が許されるわけではないんだよ。だれかの失敗や挫折は、当たり前に起きることだからだれも責めない。でも、感情を結果の言い訳にすることだけは絶対に許さないのが『ドリフェス!』なんだと思った。

社長の「どれだけ努力したかなんてファンには関係ない」というの、社会のあらゆる場面でその通りなんだよ。結局、ファンが見るのは積み重ねられた1番上の成果なのだから。そこに続くのが「だからこそ気の済むまでやりなさい」だったことにとても感動してしまった。努力は結果への納得に結びつくからね。

「意思があるならなにがなんでもやり遂げろ」という王道のテーマに、「その手段が精神論だったらはっ倒すぞ」という具体的な実現性についての問いをぶつけるシビアさよ! だからこそ、『ドリフェス!』は光のアニメなんだと思います。失敗を悔やみ足を止めるのではなく、よりよい次を目指して具体的に行動し続けてきたDear DreamとKUROFUNEだから、ALL FOR SMILE!が胸を打つ……。

 

ありとあらゆるファンのための物語

三神の「楽しめ。お前を見て元気になりたいファンもいるんだから、お前が元気でいなきゃだめだ」みたいなセリフもかなり好きです。『ドリフェス!』のファンじゃなくても、響く言葉だと思います。

ドリフェス!』ではファンの役割が「アイドルを応援するみんな」というところに固定されているので、次元を問わずアイドルを推したことがある人間には嬉しい話がとても多い。奏くんが「俺にとってはファンのみんながアイドルです!」って言ってくれたの、とても嬉しかったな。

ドリフェス!』のこと見てよかったな~と心の底から思います! 残念ながらまだ5次元を体験していないので、機会があればぜひそちらにも触れてみたいと思います。