情緒よりも主観。

うたプリやアニメや映画について、思ったことをいろいろ書くオタクブログです。

2023年5月28日『不思議の国の数学者』を観ました。

※どんな映画かは公式サイトを見ること〜!

 

ちょっと時間経ったけど、やっぱり「もしかしたら今年イチかもしれん……」と思ったので自分用に感想書きました。

特に好きなポイントに絞ってます。

 

関係の結び直し

最終的にハクソンがジウを「友人」と定義して関係を結び直したのが深く刺さりました。

ハクソンとジウ。学校警備員と高校生という交わらないはずのふたりが、数学を接点に師弟関係として関係を深めていきます。

中盤のジウがハクソンの家で夕飯をご馳走になるシーン、ふたりのバックボーン*1込みで親子っぽく見えるなあと思っていたので、最終的に擬似親子っぽい感じになるのかと予想していたら見事に裏切ってくれました!

わたしは「他者同士であり続ける」関係によわよわなので、ふたりが「友人」という「他者同士の関係」を選んだのがすごく素敵なことだと思いました。

「他者同士」と言うと、ハクソンがオイラーの等式を熱く語るシーンがあるのですが、それを聞いていたジウがハクソンと同じようにオイラーの等式には感動しなかったというのが、ふたりが違う人間であることを強調しているよう。その後のπソングを聞いたジウが数学の美しさに心を動かされるのが際立つのもあり好きなシーンです。

 

旅立ちエンドは最高

わたしは自己犠牲を伴う利他的行動がきちんと報われるのが大好きなので、クライマックスのハクソンの選択とその結果が最高すぎてベチャベチャに泣きました。

自由を求めて逃げてきたのに逃げた先にも自由はなく絶望していたハクソンが、縛りを受けるとわかって進んだ先で自由を得て旅立っていくの、完璧すぎる……!

タイトルは『不思議の国のアリス』オマージュでもあるようなのですが、「行きて帰る」の発展系にも見えて秀逸だと思いました。

 

笑いあり涙ありってこの映画のためにあるんじゃないかってくらい感情揺さぶられる名作でした。機会があったらみんなも見てね。

*1:ジウは母子家庭出身。ハクソンは妻の死後、息子と共に脱北したがその息子を喪っている。